今日はサイクリングボトルの話です。
恐らく、サイクリングボトルと言えば、ライド中に片手で飲めるよう、上に飲み口が付いたタイプのものを思い浮かべると思います。ちょうどこんな感じ。
このタイプは飲みやすいし良いのですが、何というか僕が求めているものよりはちょっと現代的過ぎる気もするのです。もちろん、目指すのは現代にも通用する乗り物ではあるのですが、それにしてもなかなかピンとくるボトルが見つかりませんでした。
そういう古風好きなユーザーがよく使うのが、カリフォルニア生まれのKLEAN KANTEEN(クリーンカンティーン)ボトルです。特に、オールステンレスのreflectタイプのボトルと、キャップに竹があしらわれたbamboo capは、類似品を生むほどの人気商品です。
ところが、このタイプの商品は既に廃版になってしまいました。自転車を購入したら、まずはこれを使いたいと思っていたので、中古市場を追い続け、とうとう買っても良いと思える値段のものを発見。購入に至りました。
大切に使えば一生もの、と唱われるこのボトルの紹介とおすすめのカスタマイズを、商品の復活を願いつつ書きます。
類似品や、元値からすると考えられない高額な中古品が出回っているのでご注意ください。
KLEAN KANTEEN 18oz はボトルケージにジャストフィット
僕自身、普段仕事などの際は、あまり大きな水筒を持ちたくないため、スタバのトールサイズが入る350mlサイズのステンレス魔法瓶を持ち歩いています。ご存じのように、マイタンブラー割引により、1杯につき55円お得になる上、保温保冷ができるので、真夏や真冬の現場仕事には重宝しています。
ところが、この水筒、自転車のボトルケージには細すぎるのです。一般的なサイクルボトルは直径73-75mmの規格となっており、適合した商品がサイクルボトルとして販売されています。
KLEAN KANTEENボトルは、本来サイクルボトルではないため、この規格とは無関係ですが、なんと、直径約70mmで、ケージの種類によるものの、基本的に問題なく使えます。
それ故に、一部の好事家が目を付けて使っているのでしょう。
ちなみに、ケージはZEFALです。
これが、KLEAN KANTEENボトルのサイズにジャストフィット。革製の滑り止めが付いているため、ボトルにも傷が付きにくいですし、少なくともオンロードでは落ちることなく走行できています。
ボトルサイズは三種類あり、18ozは約532ml、20ozは約591ml、27ozは約798mlなので、大小は好みやフレームサイズに応じて選びましょう。27ozはフレームに付けるには少し長すぎる気がしますが、2022年9月現在、市場で在庫が出回っているのは27ozのみ。20ozにはタイミング的に出会うことがなかったので、18ozを買いました。
KLEAN KANTEENの良いところ
PRO 1清潔に保てる
素材が非常にシンプルで、ボトルはステンレスのみ、キャップはステンレス・竹・シリコンの三種類だけです。塗料や接着剤も一切不使用のため、環境負荷が低いだけでなく、素材や構造のシンプルさ故に清潔に保つことができます。
専用のブラシも販売していますが、少々高いので、日常的には無印良品の柄つきスポンジを使い、たまにクエン酸でつけ置き洗いをしています。
蓋の部分も作りはシンプルで、溝も深くないので、シリコンの液漏れ防止リングを外して、それぞれ洗えばOK。シリコンリングだけはバクテリアの繁殖が心配なので、定期的に泡ハイターを使用しています。
PRO 2保温性能はなし
これは長所なのか短所なのか、人によって意見が分かれるところですが、僕は長所ととりました。
なぜなら、冷たい飲み物は身体への負荷が高いから。ライド中にキーンと冷たい飲み物を採りたくなりますが、真夏日でもない限りは常温のドリンクを飲んでいた方が調子が良いです。真夏日はぬるま湯を通り越してお湯になるでしょうが、そもそも僕は真夏日に無理をして乗らないので、保温性能は不要と判断しました。
また、保温ボトルに熱々のものを入れて、いつまでも冷めなくて口の中を火傷する経験を何度もしていますので、時間が経つと冷めるのはむしろ良いことかと思いました。
もちろん、極寒のライドでは、むしろ身体を冷やすほど冷たくなってしまいますので、冬に常に温かい飲み物を飲みたい場合は別のものを用意しようと思います。
PRO 3格好いい
詰まるところ、この一言につきます。この見た目で、好きになりました。
似たような感覚として、傷が付いてきたiPodやiPhoneのステンレスの無機質な質感が好きな人、木材が使い込まれて風合を帯びてくるのが好きな人には、グッと来るものがあるのではないでしょうか。
そうでもないと思ったら、別のボトルを買うまでです。因みに、nalgeneボトルなんかも候補に上がっていました。カラバリがとても楽しいです。
因みに別の記事でも紹介したサイクルショップBLUE LUGではブランドオリジナルボトルほか、店舗毎のボトルなども作っていて、とてもかわいいです。
KLEAN KANTEENの惜しいところ
CON 1蓋がある
bamboo capは取り外し可能なキャップのため、一般的なサイクルボトルとしての飲みやすさは残念ながらありません。きちんと止まれる信号待ち、休憩時など、確実に開けて飲めるタイミングで補給することになります。
でも心配はご無用です。飲みやすさに妥協ができないという場合は、sports capという別売りのキャップがあります。こちらは樹脂製なので、見た目のクラシックさは少し失われますが、ライド中だけこちらを使うなどという使い方もありかもしれません。
CON 2金属製の取っ手が五月蠅い
見た目がとてもかわいいbamboo capには、ステンレスの取っ手が付いています。
何枚か出してきた写真は、既に加工済みなのですが、もともと取っ手はステンレスむき出しとなっています。購入したばかりですと、付け根が強く締まっているので、走っている最中でも、ある向きのまま固定されています。ところが、レビューを読むと、これが使っているうちに緩んでくるそうなのです。そうなると、走行中に取っ手がボトル部分に当たってカチャカチャと音を立てるらしいのです。
人によっては、ハンマーで叩いて締め直しているようですが、廃版の商品で、余計な傷を付けてしまうのが心配です。
この問題は、とあるYouTubeを観て、解決策があることを知ったので、次の項目で説明します。
CON 3竹部分の手入れが必要
これもbamboo capですが、天然素材のため手入れが必要になります。これも、次の項目で解説しましょう。
取っ手が五月蠅い問題の解決作
さて、この取っ手問題ですが、とあるYouTubeを観て、そのうち音が鳴る可能性について知りました。ですが、そこで解決策が提示されていたので、真似してみることにしました。
該当箇所は4:07頃です。
動画中で同じくKLEAN KANTEENと思われるボトルが登場しますが、音が鳴らないように何かを巻かれています。緑青のような出ているので、銅線か何かかもしれませんが、とても味が出ていて素晴らしいですね。
サイクルショップで働かれている方のチャンネルなのですが、こちらはご友人の自転車の紹介ビデオです。
アンティークのガス灯などスチームパンク的な自転車のカスタマイズをされているので、興味のある方はぜひ他の動画もご覧ください。
僕はこれを見て、釣り竿の柄に巻いた籐を思い出しました。形的には難易度が高そうですが、籐巻きにチャレンジしました。
使用する籐(ラタン)
必要な材料は、工芸用の籐です。様々な細さのものが販売されていますが、僕は釣り竿用の0.9mmのかなり細いタイプを使用しました。4.5mのものが2本入っているものを購入しました。
接着剤を使わず、籐の巻で先端を挟み込んで固定する方法があるので、本来的には籐だけでできるようです。ただ、最初チャレンジしてみたところ、細い籐を使っていて、巻いていく取っ手自体も細く半径のカーブがキツく、最後に巻き終わりを止める段階で籐が切れて解けてしまいました。
KLEAN KANTEEN が接着剤等不使用という製品なので、諦めきれずにもう一度チャレンジしましたが、2回目も困難そうだったので、途中で接着剤を使うことにしました。
巻き方
まず、籐をぬるま湯に5分ほど浸します。細いのですぐに乾燥してしまい、乾燥すると割れたり切れやすいということが判明しましたので、2回目は何度も浸して、常に柔らかく撓りが効いた状態をキープしました。
締め上げを失敗した際に一度解けてしまった段階で、巻き始めも緩んでしまいましたので、まずは間隔が空かないように、キツく巻いていけば良いかと思います。
巻き終わりは、籐の切れ端を2本ほど挟んだまま3巻程度巻いて、切れ端を抜きます。空いた隙間に、巻いている籐の先端を通して、キツく締めます。それだけですと解けてしまうので、締めた部分を接着剤で固着しました。
巻き始めも、一度緩んでしまったので巻き終わりと同じ処理にしました。
コツは、U字型の取っ手の左右が均等になるように巻き始めと終わりを揃えることと、隙間が空かないようにすることでしょうか。
とても写真を撮って行う余裕がなかったので、拙い文章だけで伝わらないかもしれません。いくつか動画を観てから始めましたが、みなさんもっと上手にされています。
塗り
釣具などでは固着の意味も兼ねて、漆を使うことが多いようですが、なるべく簡単に仕上げたかったので、柿渋を使うことにしました。使用するのは絵の具で有名なターナーが出している、無臭柿渋。
柿渋はバルサミコのような匂いが強烈らしいのですが、飲料ボトルだしすぐに使いたいので、柿渋から匂い成分を取り除いたものを購入しました。
まず全体にヤスリをかけて、塗料が乗りやすくします。塗装中・乾燥中の竹部分へのダメージを防ぐ目的で、マスキングを施しました。
次に、柿渋を塗って、屋外に放置します。日光に当てた方が、色がしっかりと出るとのことです。24時間毎に、3回繰り返しました。
無垢材などとは異なり、しみ込みが少ないため、色の変化は穏やかですが、良い感じの茶色に仕上がりました。
手入れ
籐や竹という天然木が使われているが故に、定期的な手入れが必要になります。メーカーのページにも、竹の部分の手入れとして、乾性油や蜜蝋(ビーワックス)を塗ることが推奨と書かれていました。そこで、柿渋を塗った籐部分の保護と、竹の両方に蜜蝋を塗ることにします。
使用したのは、木工用の蜜蝋です。ハンドクリームにもなりそうですが、用途によって混ぜているオイルが違うらしいです。100%天然素材のようですし、香りも良いので、塗ったあとは何となくそのままにしてしまうこともあります。
指で蜜蝋を薄く塗り広げ、そのまま乾くまで放置。その後、ウェスで表面を磨くという工程を繰り返しました。
下の写真は3回ほど塗り重ねて、ひとまず完成というところです。もともと籐と竹は同じくらいのトーンでしたが、柿渋を塗った分、籐がやや濃くなっています。竹にも柿渋を塗ってもいいかもしれませんが、何となく風合が気に入っていたので、そのままにしています。
蜜蝋を塗ると、表面がつやっとして、益々愛着が湧きます。
なお、蜜蝋は表面が乾燥してきたら、定期的に塗り直す必要があるそうです。
まとめ
なかなか手が掛かるのですが、一工夫を加えることによって愛着もかなり増しました。また、BROOKS のレザーサドルのように、使い込むほど変化が楽しめるというのも、天然素材ならではです。
世界中にファンがいるにも関わらず、廃版になってしまうそうで、これから手に入るのは中古が中心になると思いますが、人気が再燃して復刻してくれることを願いたいです。
追記2024年7月20日
Klean Kanteen のシルバータイプはその後も復活せずに、市場の在庫が高騰しているような状態です。
現在販売されているプロダクトの中では、KiLEY Doric SR-01の保冷ボトルというのが気になっています。こちらは保冷保温対応のクラシックデザインボトルとして登場した商品で、Kleaan Kanteen で対応しきれていなかった真夏・真冬用のライドに検討してみたいと思います。